P社のS3

「いつもそのペン使ってるよね」
と、幼い頃からの友人に言われて気付いた。
学生のころから、ずっと気に入って愛用しているシャーペン。
考えてみれば、同じものを使い続けて優に十数年は経っている。

いつも学校帰りに入り浸っていた書店の小さな文具コーナー、
そこで見かけた深い青色とアクリルの透明感に惹かれて
なんとなく購入したと記憶している。
値段にして300円ちょっと。
基本的に新し物好きであるので筆箱の中身はちょくちょく入れ替わったが、
そのシャーペンは購入以来常にスタメンとなっていた。

なんといっても書きやすい。
重量のバランスがいいのか、形状のシンプルさのおかげか。
手に馴染む滑らかなアクリルのボディは軽くて手を疲れさせないし、
光の加減できらきらと表情を変えて眺めていても飽きない。

あまりに気に入ったため、貧乏学生ながら色違いを3本ほど買い足した。
キラキララメ入り限定カラーが発売されたときはそのよさを広めるべく
きょうだいにプレゼントもした(これを布教活動と呼ぶことは後から知った)。
一番気に入っていた最初のブルーを失くしてしまったときにはすごく落胆したし
同じ色を買いなおした。が、ひょんなところから発見されたので大いに喜び、
またそれぞれ置き場所を変えて使い倒すことになった。

授業の板書をとる傍らノート端にらくがきをするときも、
塾と学校双方の宿題を絶望的な気分でやっつけるときも、
大学で製図を学ぶときも、前職で事務仕事をするときも、
意識こそしないまま、このシャーペンが手の中にあった。
そして今もデスクワークの相棒として、日々紙の上を走ってもらっている。

***
考えだすと、この小さなシャーペンひとつに沢山の思い入れをもってしまったな、
ということでその愛着を書き出してみました。
モノづくりに携わるものとして、こうやって何気なくも長く愛用してもらえる
製品たちを世に出す一助となれたら、こんなに嬉しいことはないなと感じます。